前回のお話し
almondfish.hatenablog.com
というわけで、気を取り直して。「分析ツール」の乱数発生のところに出てきた、「試行回数」ていうパラメータ変えたらどうなるのか？ について、考察していきましょう。
とりあえず「2回連続」≒「2つ同時に」
前回の最後に（なんとなーく）確認したように、
- 本来は「確率変数の数」ではなく「試行回数」である。つまり、ベルヌーイぷるぷる君に、2回続けて「仮の姿」を見せてもらう＝2回続けて実現値を得る。
- ただし（時間と手間の節約のため、あと、「確率変数を足す」ということに話をつなげていきたいため）、同じぷるぷるーるをまもっている二人のぷるぷる君に、続けざまに「仮の姿」を見せてもらう。これを、「2回続けて仮の姿を見せてもらう」ことと同じことをしていると「みなす」。要するに、「2つの確率変数で2つの実現値を得る」≒「2回の試行で2つの実現値を得る」
ことにします。はい。
N=3ではどうなるか
「1-08」で、「10000回の（AくんBくん）共通見解」をExcelをつかってもとめていました。同じことを、Cくんも加えてやってみようというわけです。AくんBくんCくん（ともに、由緒正しいベルヌーイ家ご出身。０と１が同じくらい好き、というぷるぷるーるを守る確率変数＝ぷるぷる君たちです）の「共通見解＝合計」はどうなるでしょう。
念のために、共通見解のつくり方を復習しておきます。まずCくんの変身記録ですが、これは以前と同じように、〔 = randbetween(0,1) 〕という関数で作りました。そして、共通見解は、これを1回目から順に足していくことで作るのでした。
A+Bの共通見解を作ったときは、図の上のように、Aくんの1回目の仮の姿＝１、Bくんの1回目の仮の姿＝１、したがって、1回目の共通見解は１＋１＝２としたのでした。（図では5回目まで示しています。）
A+B+Cの共通見解もこれと同じやり方をします。Aくんの1回目の仮の姿＝１、Bくんの1回目の仮の姿＝１、Cくんの1回目の仮の姿＝１、したがって1回目の共通見解は１＋１＋１＝３です。（図は5回目まで示しています。）
では、結果をみてみましょう。
A+Bのときと同じように、1行ごとでは、０という共通見解が15回だったり7回だったり、かなりばらつきがありますね。でも、10000回分集計してみると、きれいに山型（台形型？）になっています。
分析ツール「二項分布」と比べよう
では次に、分析ツール「乱数発生」で、二項分布の乱数をつくって、比較してみましょう。設定はこうするのでした。
大事なのは「試行回数」を３にすることですね。あと、さっきの実験と回数をそろえるために、変数の数を100、乱数の数を100として、合計10000個の乱数をつくっています。では、結果をみてみましょう。
TT列とXL列の間に95列分が非表示になっていて、合計で10000個の変数があります。３～０までの値の比率といい、グラフの形状といい、同じ分布だといっていいですね。山型（というか台形型）です。
二項分布のぷるぷるーるの特徴は
以前、A+Bくんの変身記録から、二項分布（試行回数2）をつくったときには、グラフが山型になっていました。今回、A+B+Cくんの変身記録から、二項分布（試行回数3）をつくったときにも、グラフは山型になっていました。しかし、試行回数2のときと比べると、横幅が少し広がって、傾きが滑らかになっているようです。でも、山の形になる、ということは共通しています。
では、試行回数をもう少し多くしたら、どうなるのでしょうか。試行回数を４、５、６、と増やしたら、どうなるのでしょう。気になりますね。え？ 試行回数100？ 1000？ そんなに増やして大丈夫なのでしょうか。最大いくつまで、が決まっているとか、そういうことはないのかなあ？
次回から、もう少しこの「試行回数を増やす実験」を続けてみましょう。
今日の統計用語
- 試行 trial
- 「サイコロを投げる」というような、やってみなければ結果はわからないような動作（操作）を試行（trial）という。そして、「3が出る」「偶数が出る」のように試行の結果として起き得るできごとを事象（event）という（確率事象ともいう）。（奈佐原顕郎 2019 ライブ講義 大学1年生のための数学入門 講談社 p.206）
めずらしく、がっつり引用してみました。この本、とてもいいです。