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受託開発の考察:スタートアップ時代からの変遷 - cassette

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今年になって受託開発をしたいなあと思って受託開発について色々と調査したり、イベントに参加したりした。その中で現段階のまとめをしていく。

前提

2010年代はスタートアップの時代で受託開発よりもとにかく自社サービスで一発当てるぞという時代だった。その中で有名なサービスの誕生した影で何十倍もの新規サービスも生まれては閉鎖されていった。また新規サービス構築の話や投資資金もスタートアップに流れいたためかなり金回りのいい時代だったので、スタートアップが自社サービスを運営しながら片手間でも受託開発をしていられる環境だった。

ただ、去年ぐらいからソリッドベンチャーという言葉も出来きたように赤字を掘って急激に成長するよりも手堅く利益を上げる会社やスモールビジネスが流行り受託開発会社が増えたと感じる。そのため競争が激しくなり特徴が無いと厳しくなっている。

つまり相対的に強みがないと今後受託開発企業は生き残るのが厳しくなっている前提がある。

強みの分類

上に書いたように受託開発会社が強みを作るためにどのような仕掛けしていくのか分類した。

1. 技術で差別化

基本的にはフリーランスエンジニアの生存方法と同じでフリーランスや小さい組織が向いている手法である。供給よりも需要の方が旺盛である新技術をキャッチアップして行くやり方。 過去の事例は山程あってiPhoneアプリ、Reactによるフロントエンドの変化、AWSの登場などが大きなトレンドである。最近であれば生成AI関連もこの分類である。 ただしこの手法は2~3年でライバルが急激に増えるので、賞味期限が速く参入障壁を持つのが難しい。

小さい組織ほど向いているので個人のエンジニアはファーストチョイスだろう。問題なのはそういう需要を伴った新技術が出てくるのを自分でコントロールするのが難しい。

2. パッケージ (SaaS)+ 受託開発

何かしら企業向けのパッケージを提供し、そのカスタマイズも同時に提供するパターン。実際にパッケージのみ一本で十分な利益を上げるのは難しい。そのため別途カスタマイズという名の受託開発もすることで利益をあげる。すごく分かりやすく言うとスーパーの広告の品がパッケージでお客様を集め、ついでに他の商品も購入してもらうという手法だ。

いくつか事例を聞いたが頭がいい手法だなあと感じた。実際に受託開発企業の鬼門はリード獲得と信頼関係構築だ。そのため受託で開発しませんかと営業をするのは、いきなり高額なマンションを売るのと同じように難易度が高い(何千万もする商品を良く知らない人に発注するのは勇気がいる)。

そのためフロント商品である企業向けのパッケージを提供し関係値を深めて、カスタマイズに移行するという手法だ。

ただ問題は2つあって、

  1. 魅力があるパッケージを作ること
  2. カスタマイズは一般的に開発が難しい

低額であってもいらないものはいらないので、魅力的なパッケージを提供するというがそもそもの難題だ。また自分もSaaSを作ったことがあるが非機能要件部分が多いので単純に開発量が多く、カスタマイズに手をまわしすぎて本体部分の開発が進まないということも考えられる。

とはいえ開発に自信がある企業であれば挑戦する価値はある。

3. 伸びているプラットフォーム乗る

例を出した方が速いがLINEのミニアプリ構築、ShopifyでEC構築する。昔ならEC キューブとかもあった伝統的なやり方。純粋なエンジニアからすると技術難易度が物足りないがこういう伸びているプラットフォームに乗るというのは手堅い。ただ開発能力が必要といよりも顧客はそのプラットフォームで売上を上げたいのが目的なので実際はコンサル面もサポートする必要がありそうと感じた。 そのため昔からやっている企業が実績が分かりやすく持っているので強い。さらにプラットフォームで有力な開発会社であればプラットフォーマーと繋がりを持っている。そのため後から参入するには障壁が高いので初期の段階で参入するのが重要だと感じた。

4. 案件を持っている企業・コンサルと組む

開発案件(高額含む)を沢山持っている人や企業と組む手法。例えば代理店やコンサル企業は多くのクライアントを抱えているので、その開発案件を分けてもらう。
企業サイトはボロボロや技術も高くないが売上がすごい企業はだいだいこのパターン。とはいっても一番鉄板で他の強みともコンフリクトしないし上手くいけば時間もお金も節約できる。最終的にこの手法のためにそれ以外の手法が存在するくらい強い。

ただ何も開発体制が揃ってない段階で高額な案件を受注しても納品が難しいので、いきなり実行するのは難しのではと感じる。

雑感

上に色々と手法を書いたがたぶん個人や小さい組織であれば行動量を増やせば何とかなる。ただ大きな規模の成長を目指すには工夫が必要みたいだ。 受託開発の社長の人とも話したが結局大きくなっても、安定的に大きな予算の案件を受注するのは難しいらしい。個人でも大きな受託開発の社長でも悩みは共通している。


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